一生に一度ハシゴ

今日は初めて映画をハシゴした。暑さもあってか体力的には疲れたが、ほとんど同じ話だったので食い合わせはよかった。観たのは、「風の谷のナウシカ」と「もののけ姫」だ。

幼いことに金曜ロードショーで見て以来久しぶりに観て、ああここってこういうことだったんだと作品が鮮明になる。割とこういう人は多いと思うので、ジブリって妙なコンテンツだなと思う。

ナウシカ」はオープニング明けから、滅びゆく世界を旅する老剣士と美しくも恐ろしい森を冒険する少女が描かれて、世界観にぐっと引き込まれる。「もののけ姫」は、呪いを負った蝦夷の青年が呪いの根源を探るべく室町時代後期の大和へと旅立つというもので、最近の自分の興味にも近い。こんなん絶対面白いな。衣装や兵器、アクション、セリフなどもすこぶるかっこよかった。トルメキア兵とか唐笠連とか矢場くないですか?

両作とも悲惨な世の中で人々がどうにか生きようともがいているのだが、それが争いや自然破壊を招きじわじわと混迷の度合いを深めていく。もののけ姫ではマイノリティー同士が呪い呪われていく要素も出てきて、サンとエボシの決闘のシーンでは涙を流さずにはいられなかった(映画で泣いたの人生で3回目)。

一体どうすればいいんだ⁉ 暴力の連鎖が続いていく中で、主人公は争うな殺すなと叫び解決の糸口を探っていく。そしてついに臨界を迎えた自然が人間たちになだれ込み、終末が訪れようかという土壇場、主人公は自然からの収奪物を誠実に返すことで、調和の可能性を見つけ出す。

奇跡のスペクタクルが繰り広げられる中で、私はなんだか乗り切れなくなってしまった。駿、すこし無責任過ぎはしませんか。これまで、散々どうしようもならないって話をしていたのに、ちょっと取ってきたもの返したくらいでことが収まるもんなんでしょうか。

結末を最初から知っていたから予定調和を強く感じてしまったのかもしれない。子供に向けたものであるから希望を語りたかったのもあるだろう。しかし、誠実さというものに期待し過ぎじゃないだろうか。他にも女性とか自然とか、近代の反対にあるものに託し過ぎているというか。それが何を指すのかよく分かってはいないのだけど、戦後文化左翼の無責任さというのを感じた。

とはいえやっぱりジブリは面白いですし、マスクをもごもごさせながら腐海を見る機会ももうないと思うのでおすすめです。