今日の老後

今日は試験終わりに大阪市立東洋陶磁美術館に行った。

試験の会場は大阪駅の近くの高速道路の高架が刺さったビルで、そこから行きたいスパイスカレー屋までは歩いて行ける距離。またそこから美術館までは歩いて行ける距離だったので、結局3キロほど歩いてしまった。

カレー屋と美術館がある中之島は川の中州に古めかしい官庁や博物館が建っていて好みの場所だった。ゆっくり川や建物など見ながら散歩したかったが、しばらく引き籠って勉強ばかりしていた身には暑さが堪えそれどころではなかった。

陶磁の美術館に行きたかったのは、NHKの影響だ。前にやっていた焼き物がテーマの朝ドラと、ふと見た樂家(とても近所)のドキュメンタリーを見て焼き物にそこはかとなく心惹かれていた。今日は場所も近かったので来てみた。NHKの影響で焼き物を見に行くの、どう考えてもジジイだ。

陶磁器はよかった。文脈が分からなくても、ものの質感や存在感で訴えかけてくるものがある。展示物のほとんどが床の間に飾れそうな大きさの中で、甕が2つほどあった。デカい。やはりデカいと迫力がある。説明パネルによると、焼締めの自然釉による素朴な風合いどうこうということで、見てみてもなるほどそんな感じである。天目茶碗のメタリックな色味や青磁のぬぼっと怪しい雰囲気もよかったが、この甕も荒々しさの中に微妙な味わいがある。

さらにパネルを見ると、「越前焼」とあった。越前福井は地元である。そういえばこんなのあったな。

結局地元か。最近は地のものに目を向けようという意識が芽生えてきていて、当事者性をもって取り組むならやはり地元だろうと思うようになってきていたところだった。出かけていった先で地元のすばらしさに触れる。またジジイがやりそうなことだ。

とはいうものの、どうせ地元には帰らなきゃいけないっぽいし、とりあえず地元に向き合うのはそれからでいいかなと思っているので、今後しばらくは下宿先の京都の茶碗でも見てみようかと思います。